夜、Netflixで映画「Shall we ダンス?」を観た

かなり昔、父親とレンタルビデオで観た記憶があったんだけど、実際観てみるとどのシーンもほぼ初見のインパクトだった
本当は観てなかったのかもしれない 忘れたのか?
後者かも まあどっちでもいいか
以下散文感想

面白かった〜
電車の窓から見えるダンス教室(みたいな場所)って、たぶん誰の記憶にもあるよな
ギター教室、フィットネスジム、見知らぬ企業のオフィス、なんでもいいけど
このまま生きていたらおそらく一切交流を持つことはないであろう人たちが、あの建物に、あの一室に、暮らしたり活動していたりするんだな、と思いを馳せることって身に覚えがあるはずだ
繰り返される電車通勤の、会社と家の往復シーンのあと、ひょいっと電車を降りることでドラマが始まる
このメタファー、王道だけど王道だからこそ良い
随所にユーモアがあって、ホワン…としたやさしい笑いに包まれてるのがよかった

あとなんか、こういうラブストーリーって珍しいなと思った
結果、ラブストーリーではなかったのかもしれないが
ダンス教室の美しい女性に惹かれた生真面目な主人公はすでにもう結婚していて、浮気してやろうとかそんな大層な意気込みはないものの、ちょっとした下心からダンス教室に通い始める
女性は女性で真剣にダンスに取り組んでいるあまり、下心からダンスをやろうとする男性を拒絶していて、もっと別の葛藤や過去を抱えている
なのでラスト、二人は恋人同士になるんでもなければ、キスを交わすわけでもない
性欲由来だろうが憧れ由来だろうが、浮気は浮気、区別して一方を美化すな〜!と言う人も、もしかしたらいるのかもしれないけど
ダンスを通じて心を通わせた二人が、ともに手を取り合って踊る
それがこの映画のハッピーエンドなのだ
恋愛に起因・帰結しない関係性の、尊さみたいなものを感じた(恋愛関係が尊くないという意味ではなく)
で、そういう関係性を築くことができる、ダンスという表現、非言語コミュニケーションの魅力も感じた
奥さんと心を通じ合わせるために、ゆっくりとステップを合わせる描写なんかもあったりして(双方裸足で…色気があるシーンだ)
なんか今、こういう時勢だからかもしれないけど、こういうコミュニケーションへの憧憬が深くなるな〜

もう100万回以上言われてると思うが、役所広司さんめちゃくちゃ演技がうまい
緊張で頭が真っ白になっているときの表情とか動きとか、話しかけられてからの一瞬の間とか、かなりの観察力に裏付けられた演技だと思った
あと、役作りではおそらく相当ダンスを練習したのだと思われるが、序盤の何もかもがおぼつかないダンスの演技、本当にダンス始めたての頃に撮ったのか、上達したうえで下手に踊っているのかわからないくらい自然
本当にダンスが下手な頃に撮った場合、うまく踊れないこと自体に意識を取られてしまわないのだろうか
うまく踊れないときってまさに本当こういう動きになるよな…という動きがかなりリアルだったので、意識を取られない上で演じているのだとしたらすごい(そうでなくてもすごい)
演技でいうと、柄本明さんが演じる探偵さんがなんともよい味出してた 柄本明さん大好き!
仕事してるうちにいつのまにか紛れ込んで楽しんじゃってる感じがかわいいんだ…
あとたま子先生役の草村礼子さんが唯一無二の存在感で素晴らしかった
当時どうだったのかわからないけど、相当に豪華なキャスト

予告編に使われてる、レインボー色したロゴ
今DVDのパッケージで使われてるロゴとかなり違うけど、こんな感じだったのか
このダサさ…たまらん

主人公も含め、登場する男性がみんな、男が社交ダンスをやるなんて恥ずかしい、気持ち悪いと思われる、という意識を持ってたのが印象に残った
今日では古い価値観だと思うし、改めて最近は、このへんのセクシュアリティやジェンダーをめぐる価値観や意識がめまぐるしく変わっているなあと思ったけど
それはここ最近で急に変わってきたんじゃなくて、長いこと違和感を感じていた人や虐げられてきた人がいて、こういう映画とかでさまざまに表現されてきた、その延長線上での変化なんだな
この映画も、25年も前の映画だもんね
実際この映画の中でも、ダンスに興じている人はほぼ半数が男性だったし
その全員が「男が社交ダンスなんて…」という後ろめたさを抱えているとは思えかったんだけど、実際は、今はどうなんだろう
田口浩正さん演じる男性が「気持ち悪い」と言われたり、竹中直人さん演じる男性が「社交ダンスをやってるなんて、若い女と踊りっていうオヤジの下心がミエミエよね〜」と社内で嘲笑されたり、男性が受けるセクハラも描かれている
(この後周防監督が「それでもボクはやってない」という痴漢冤罪を扱った映画を撮るのもなんか意志めいたものを感じる)

映画面白いなー
あんま観れてないけどもっと観たい